あたりまえの生活をできるようになる

私達は利用者様が地域にとけこみ、あたりまえの生活をできるようサポートします。

利用者様がうまくいかないときは、本人のせいだけではなく、周りの関わり方を再検討して適切な支援をみんなで考えていきます。

『料理、洗濯、掃除すべてできない』

  • 料理はつくれないけど、コンビニでごはんを買ってくることはできる
  • 干した洗濯物を取り込むタイミングがわからないけど、だれかが教えればできる
  • 掃除の仕方はわかるので、習慣化すればきれいになる

障害をもつ人の「できる部分」「できそうな部分」「できにくい部分」は人それぞれです。

職員は「できそうな部分」を信じて、ひとりで生活するために必要なスキルを身につけられるよう「できる部分」を増やす支援をします。

例えば、自分の意見や希望を伝えることが苦手な人や一方的な意見ばかりを主張してしまう人は、コミュニケーションのトレーニングをしたり、掃除や片付けに課題のある人は1日のスケジュールに組み込んで職員と一緒におこなったり、個別支援計画の目標にむけて取り組んでいきます。

「できにくい部分」はグループホームの職員や社会資源で補います。

ご本人の状況にあわせて、ユニット間を移動することも可能です。

精神障害をもつ人の支援事例

「一生このアパート型のグループホームに住みたい」と言っていた統合失調症のある利用者様(区分なし)が、コミュニケーションの課題をのりこえ、ひとり暮らしが実現できた事例を紹介します。

事例を詳しく見る

  • A様(20代・男性)
  • 統合失調症 障害支援区分なし
  • 2012年12月 ラファミド八王子に入居

ご本人が希望する長期目標 → 一般就労をすること

―課題―

顔なじみの職員としかコミュニケーションがとれず、新しいことにチャレンジすることが苦手。

自己肯定感が低く、不安感が強いため他者との関係を築くことを極端に恐れてしまう。

ちょっとしたことを失敗だと思い込み、必要以上に落ち込んでしまう

―支援の内容―

2013年12月より認知行動療法※1を開始する。

週1回面談をおこない、ストレス場面をアセスメントすることにより、マイナス思考による悪循環を理解できるようになった。それだけでもご本人は精神的に安定して作業所通所も増やせるようになった。

アセスメントをもとに自動思考※2の検討をおこない、極度のマイナス思考から適正な思考を考える練習をおこなう。何度も練習するうちに極度のマイナス思考もやわらいでいき、必要以上に落ち込むことも少なくなった。

余暇活動も積極的に参加するようになり、ひとりで旅行会社のツアーに申し込んで旅行に行ったり、知り合いが誰もいない料理教室に通えるようになり、徐々に地域にとけこむことができた。

また、作業所でも友達ができ、自信がついたのか、ご本人から一般就労したいとの希望があり、1社目の面接でアルバイトとして採用された。

就職後も職場の人間関係で悩んだりすることはあったが、面談時に認知行動療法を活用することにより乗り越えることができた。

その後、正社員になり現在はアパートでひとり暮らしをされている。

※1認知行動療法

「認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味です。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいきますが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。(国立精神・神経医療研究センターHPより)」

※2自動思考

状況に対してはじめに思い浮かぶ思考のこと

知的障害をもつ人の支援事例

知的障害をもつ利用者様(区分4)が、ラファミド八王子入居時には入所施設等の保護的な環境での生活を希望していましたが、ひとつひとつ課題を克服することにより、一般のアパートでの生活を希望するようになった事例を紹介します。

事例を詳しく見る

  • A様(30代・男性)
  • 知的障害、統合失調症 障害支援区分4
  • 2014年7月 ラファミド八王子に入居

ご本人が希望する長期目標 → できることを増やして一人暮らしをしたい

―課題―

幼少期より両親から身体的虐待を受け学校へも通えず、読み書きや計算ができなかった。

お金や薬の管理もできず、何かあるとすぐに感情を爆発させてしまう。

―支援の内容―

構造化支援※1 ~個々の特性を理解した上で、その人が理解しやすい環境をつくる工夫・方法~

アセスメントにより、成功体験の積み上げで意欲がわくことと視覚的なアプローチが有効であることがわかった。

許容量を把握した上で、できる力を信じ、読み書き・計算を週に1回、勉強する時間を設定した

毎週の勉強では取りくみやすいレベルのドリルを使い、読み書きや足し算・引き算への取り組みを開始。

「貯金したい」という本人の意欲があったため、計算する勉強から、より実用的な金銭管理台帳に記入していくことに挑戦することになった。スモールステップで目標を設定し、成果を体感することで、数ヶ月後には、自分で収支を計算し金銭台帳への記入もできるようになる。

半年後には20万の貯金もでき、事業所での金銭管理も自己管理に移行している。

服薬に関しては、病識に乏しく服薬の必要性も理解していないため、視覚的な工夫を交え、毎週の面談で心理教育※2と動機づけ面接※3を実施する。

服薬カレンダーへの薬セットも職員が手伝っていたが、自分で取り組んでもらうことで、間違いや苦手な部分をご本人と職員が共有。バラバラになっている薬をチャック付きビニール袋に入れて一包化。また、朝・昼・夕薬を色分けしてわかりやすくしてみると・・・ 一連の流れを視覚的に示したことで見通しが立ち、飲み忘れもなくなり自己管理できるようになった。

現在、ご本人の特性に合った構造化支援を取り入れることで、できることが増え、自己肯定感も大幅にアップしてきた。

他の課題にも意欲的に取組み、更にできることが増える好循環が生じた。休みがちだった作業所へも安定して通所し、対人関係で感情を爆発させることもなくなった。

入居当初は保護的な環境での生活を望んでいたが、目標はアパート転宅に変わり、共同生活タイプのユニットから、アパートタイプのユニットへ移動し、ひとり暮らしのイメージをふくらませている。

現在は、一般アパートへの転宅を目指し、更にできることが増えるよう自らの課題に取り組んでいる。

※1構造化支援

個人の特性にあわせて、理解しやすい環境を提供する支援。

詳しくはこちら

※2心理教育

「精神障害など受容しにくい問題を持つ人たちに、正しい知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝え、病気や障害の結果もたらされる諸問題・諸困難に対する対処方法を修得してもらうことによって、主体的な療養生活を営めるよう援助する技法。(心理教育を中心とした心理社会的援助プログラムガイドライン2004より抜粋)」

※3動機づけ面接

本人が自ら変わろうとしている発言を引き出していく面接法。

1日の流れ

ラファミド八王子の利用者様の平日の過ごし方を大まかにお伝えします。

8:00 起床
8:30 朝食・服薬(食事の提供はないため自炊や宅食です)
9:00 日中活動&昼食・服薬(A型・B型・移行・デイケア・地活・一般就労etc)
15:30 通所先より帰所 自由時間
17:00 日中活動の相談・居室掃除・買い物など
17:30 入浴
18:00 夕食・服薬(食事の提供はないため自炊や宅食です)
19:00 自由時間(テレビ鑑賞・他利用者様と雑談など)
21:00 服薬・就寝