アパート型グループホームの「ほぼ一人暮らし支援」
今回は、ラファミド八王子の中でも、自立度の高い方が暮らしている5棟と7棟をピックアップしてご紹介します。
ラファミド八王子は1から7棟までありますが、その中でも特に普通の一人暮らしに近い形のユニットです。
建物は普通のアパートで、5棟は3部屋とスタッフルーム兼交流室、7棟は9部屋とスタッフルーム兼交流室があります。
現在、利用者数は満室で合計12名。男性のみで年齢は40代以降が多いですが、20代から70代まで幅広いです。
ほとんどの利用者様は日中は就労継続支援B型・A型事業所やデイケア、一般のアルバイトなどに通われていて、安定して長く入居されている方もいれば、将来的に一人暮らしを目指している方も多いです。
常勤の世話人は9:00〜18:00、非常勤の生活支援員は都度、常勤夜勤は20:00~7:00に、それぞれ配置されています。
次に、毎日どんな支援をしているか、一人暮らしに近いからこその支援について説明します。
日勤の一日のルーティーン
- 9:00~9:30 出勤・建物巡回と居室訪問
- 9:30~10:00 朝礼
- 10:00~12:00 通常業務
- 12:00~13:00 昼食休憩
- 13:00~17:00 通常業務・建物巡回と訪問・記録(15:00~)
- 17:00~18:00 終礼(~17:30)・退勤
これだけだとまだ何をやっているか分からないと思うので、具体的に説明していきます。
①各部屋の巡回
毎日、各部屋に訪問して、服薬、体調の確認などを行います。
利用者様たちが日中活動に行く前、帰ってきた後の時間帯にしています。
朝礼前のタイミング、15時以降のタイミングに行っています。
世話人が外出支援等でユニットを離れるときはドアに札を付けて分かるようにしてます。
居室訪問して利用者様の体調が悪い場合は、状況に応じて通院を促したり、日中活動先に連絡して情報共有を行います。
また、人によっては高齢によるADL低下の確認や、冷蔵庫内に賞味期限切れのものがないかの確認なども行います。
日中活動を休みたいときに利用者様から「電話した方が良いですかね?」「代わりに連絡してくれませんか」などと言われることあります。
そんな時は、「どうしたらいいと思うか?」を聞いたり、「社会人は基本的にしんどくても休む時は自分で連絡を入れる」と説明したりします。
高熱を出して自分で連絡がむずかしいといった場合を除いて、できることまでこちらで代わりにやるのではなく、社会人として基本的に自分でやらなければいけないことはご自分で動いてもらえるように支援をしています。
②朝礼(9:30~10:00)、終礼(17:00~17:30)
支援で大切なのは、予定や情報、支援内容などをスタッフ間で「共有」することです。
サービス管理責任者の矢部さんは複数ユニットを管理しているので、その際はリモートで参加してもらいます。
「2階の〇〇さんは今日は体調不良で作業所を休まれています」など、その日の様子を伝えられるよう、朝の巡回後に朝礼を行っています。
終礼では利用者様の一日の様子を共有し、明日以降の支援の修正などの確認をします。
また、終礼後は退勤時間まで30分ありますが、夕方に体調を崩す方もけっこういるので、何かあったときのための最終支援の時間にしてあります。
スタッフルームには利用者様が相談などに来ることが頻繁にありますが、朝礼・終礼の時間は遠慮してもらっています。
利用者様との面談や居室掃除などの予定も、基本的に10:00以降で予定を立てています。
「緊急時以外は朝礼中は配慮してください」と掲示板でもお願いしています。
役所の窓口なども時間が決まっていますよね。
基本は決まった時間に合わせて行動してもらう、こちらも決まった時間外には基本的に受け付けないことが、一人暮らしのための支援と考えています。
③通常業務(10:00~12:00、13:00~17:00)
面談、関係機関との連絡、金銭管理、服薬管理などを行っています。
<面談、相談>
これが一番多いです。定期的に面談日を決めている人もいますが、必要に応じてその都度行っています。
利用者様からスタッフルームに電話がかかってくることもあれば、直接お話しに来られることもあります。
面談場所は、状況に応じて変えています。
お部屋の様子が精神状態のサインになっていることもあるので、面談で一緒に見せてもらうこともあります。
「次の生活保護の支給日まで残金が少ないのですが、どうしたらいいでしょうか」
「日中活動先にイヤな人がいて行くのがイヤです」
など、お金・人間関係・健康の悩み相談が多いです。
お話を聞き「計画的にお金を使うにはどうしたらいいか」「通所できるようにするにはどうしたらいいか」などをご自分で考えて実行できるような、建設的な相談になるようにしています。
エスプリ(同一法人の就労継続支援B型)などの日中活動先が関係している場合は、情報を共有して連携して対応してもらえるようにしています。
相談件数は日によってちがいますが、平均で1日3人くらい、まったくない日もあるので、そういうときは事務作業がサクサク進みます。
<関係機関との連絡>
必要に応じて、日中活動先や通院先、訪問看護、役所、ご家族などと連絡を取って、情報の共有を行います。グループホームを出た後も関わっていくことになるので、一人暮らしを想定しての連携も大切です。
毎日通う日中活動先と週1回ある訪問看護とは特に連絡を取ることが多いです。
訪問看護を利用している利用者様は現在7名います。訪問時に、最近の様子などをお伝えしています。
利用者様の体調について訪問看護師さんから意見を聞き、対応の参考にすることもあります。
<金銭管理>
自己管理している人が多いですが、2週に1回、月1回生活費を渡すなど、ある程度金銭管理をしている人も4名います。
最初は毎日管理する必要がある人もいますが、ステップを踏んで、必要最低限の管理にできるように支援をしています。
<服薬管理>
一人暮らしがベース・目標なので、基本は居室での自己管理で、週1回のお薬カレンダーのセットの確認、巡回時に空袋の確認など、最低限の確認を行っています。
飲めていないときは理由を聞く、その場で飲んでもらう、怠薬が続く場合は病院に連絡・必要があれば通院同行など対応を行っています。
<管理・研修>
この他に、スタッフルームの清掃や、通路の電球の交換やトイレットペーパーの補充、備品の確認なども空き時間に行います。
またSHIPは内部研修が豊富で、毎月自分の希望で受けることが可能なので、午前中にオンラインで受講することもあります。
④昼食休憩(12:00~13:00)
どこの職場でもあるお昼休憩の時間です。大体スタッフルームで食事を取り、午後の業務に備えてひと眠りすることもあります。
実はグループホームなどでは、「休憩」も支援の大事なポイントだと思うのです。
朝礼時間と同じく、スタッフルームに職員はいるので、以前は在宅の利用者様が頻繁に相談などで来ることがありました。職員の中には、それで対応してしまう者もいました。
「時間外も対応してしまう問題」・・・これ、福祉の現場だと何気によくありがちです。
丁寧に対応しているように見えて、ご本人はいつでも対応してもらえると待つことができなくなり、職員は休めず無理をして潰れてしまう、という両方にとって悪い結果をもたらしてしまいます。
現在は、利用者様には「この間は緊急時の用件以外は対応できない」と説明、職員間でも対応を統一しています。
「みなさんもお昼の休憩はありますよね。自分たちも、お昼の休憩時間はちょっと寝て、頭をスッキリさせて午後対応したいです」と説明すると「なるほど」と納得してくださいます。
利用者様には社会生活で必要な「待つ」ことを覚えてもらうため、また、職員は職員で業務に集中し、良い支援を継続して行うために大切なことです。
⑤記録(15:00~)
計画に沿って支援を進めるため、情報を共有してチーム支援を行うため、毎日の支援の記録も大切な作業です。
利用者様の個々の記録とは別に、エスプリと夜勤者との共有のための記録もそれぞれ毎日作成しています。
ラファミドからは10:00まで、エスプリからは15:00までに各利用者様の様子などそれぞれ入力して、情報を共有しています。
なので、エスプリからの情報を確認しながら記録をつけるためにも、また夜勤者さんになるべく最新の情報を伝えるためにも、15:00くらいから入力を始めるのがちょうどいいんですね。
「〇〇さんのにおいが気になりました。最近入浴しているでしょうか」
「〇〇さんが体調不良で早退したのでバイタルチェックをお願いします」
といった連絡を受けて、対応をしたらそれをまた入力します。
夜勤者用には元々、業務日誌に一日の申し送りを書いていましたが、よりくわしく情報共有をするために、それとは別に今年から個々の利用者様についての連絡表を作りました。
何もなければ「特変なし」、例えば新型コロナ感染者が出たときは「〇〇さんは何かあったときのやり取りは電話で、居室には入らないでください」などとくわしく伝えます。
夜勤者さんには確認したらサインをしてもらっています。
エスプリ用も夜勤用も、過去一週間分は記録を残しています。おかげで連携もしやすくなりまたし、どうしても毎日のことは忘れてしまうので、すぐ目に見える形で残っていると、日々の業務の中でも役に立ちます。
⑥業務終了(18:00)
特別なことがなければ、18:00で業務終了です。残業はほぼないです。
まれに18時にドアを出たときに「相談があるんですが」と声を掛けられることがありますが、これも緊急でないか確認し、緊急以外は明日の朝の巡回時に教えてくださいと伝えます。
食事の支援
最後に「食事」についても説明します。
グループホームだと食事提供があるところも多いですが、ラファミドでは行っていません。
利用者様たちは、1週間分自炊している方、ワタミやコープなどのお弁当やおかずの配達サービスを利用している方、コンビニ食の方などいろいろです。
食料の買い過ぎ、食べ過ぎなどでお金を使い過ぎる、肥満や高血圧などの体調不良につながるといった場合もありますので、食事提供をしているとその辺の管理も簡単にできると思いますが、一人暮らしを想定して、自己管理できる支援を行っています。
外部サービスにつなげることや、体に悪い食べ物や血圧を下げる食べ物などの情報を提供する、訪問看護と連携して指導してもらうなどです。
情報提供も、声掛けだけでなく、一覧表など、視覚的な情報を渡すなど、利用者様にあったやり方で行うことも大切です。
実際それを見て「納豆を食べるようになりました」などと利用者様から報告をもらうこともあります。
一人暮らしを目指す人はもちろん、5・7棟で長く暮らす場合も、年齢が上がっていくにつれて健康問題は増えていくので、自分で気づき、管理できるような支援を行っています。
ラファミド八王子の理念は
「 支援される部分を少なくし、自分のできる部分を増やすこと 」
「 障害の部分は社会資源を活用して補完し、自立へ導くこと 」
です。
アパートタイプのユニットについて、イメージしてもらえたでしょうか。
興味がある方はいつでも見学へいらして下さい。※事前に連絡をお願いします。
ただ、アパートタイプと共同生活タイプ、または重度のグループホームだと世話人の仕事振りも大きく変わります。
それはまた各事業所に見学に行かれた際に職員へお聞きして下さい。